「不動産投資」、「不動産賃貸業」などにご興味のある方は、
「金持ち父さん、貧乏父さん」という書籍にはなじみがあるかと思います。
経済的自由を目指すなら = 「資産を持つ」こと。
「資産」とは、自分のポケットにお金を入れてくれるもの。
当時、この根本的な示唆はまさに目からうろこの発見でした。
そして今は、
シニア層やビジネスパーソンの間で
『Die with zero(ダイ・ウィズ・ゼロ)』
という書籍が話題を呼んでいます。
「死ぬ時に資産をゼロにするのが、
最も幸福な人生の送り方である」
という、新しい終活の考え方です。
人生を豊かに過ごすためには、
お金は貯めるだけでなく、
経験や思い出に投資することが
最も価値ある使い方だと説いています。
この書籍の中で、
特に多くの親世代がハッとさせられるのが次の教えです。
「子どもにお金を遺すなら、
彼らが一番お金を必要とする時期(26〜35歳頃)に与えるべきである」
そこで今回は、
「Die with zero」的考え方を参考に、
不動産オーナーにとっての
相続準備、不動産承継、その手法について考察しました。
ケース1. 不動産を「現金化」して自分で使い切る
不動産は「モノ」であり、そのままでは消費することができません。
そこで、自宅や所有の事業用不動産の一部を
生きているうちに自由に使えるお金(キャッシュ)に換える方法です。
◆リバースモーゲージの活用
自宅を担保に銀行から生活資金や融資を受け、
住み続けながら原資を消費する仕組みです。
自分が亡くなった後に自宅を売却して一括返済するため、
子どもに家を残さない(=資産をゼロにする)
前提のライフプランに最適です。
◆リースバックの活用
自宅を専門業者に一度売却してまとまった現金を得て、
その後は家賃を払ってそのまま住み続ける方法です。
まとまった資金がすぐに手に入るため、旅行や趣味、
健康への投資など、動けるうちに「経験」に
お金を使いたい場合に有効です。
◆低収益・管理が大変な不動産の早期売却
地方の古アパートや未利用の土地などは、
老後のエネルギーを奪う原因になります。
早めに売却して現金化し、
「モノ(不動産)から経験(旅行・医療・趣味)」へ
資産をシフトさせます。
ケース2. 「生前贈与」で子どもが若いうちに分配する
『Die with zero』の重要な教えの一つは、
「子供にお金を残すなら、
彼らが最もお金を必要とする時期(26〜35歳頃)
に与えるべきである」という点です。
親が死ぬ(80〜90代)頃に
子どもが相続(50〜60代)しても、
お金の価値を最大化できません。
銭的な援助という部分で考えると
子どもが本当に助かるのは、
結婚、子育て、マイホーム購入など、
人生の一大イベントが重なる「若い時期」だからです。
そこで、活用できる手法としては下記のものが考えられます。
◆相続時精算課税制度の活用(2,500万円まで非課税)
早期に収益不動産(アパートなど)の名義を子どもに移します。
「毎月の家賃収入」
というキャッシュフローを若いうちの子どもに譲ることで、
子どもの教育費や自己投資に役立ててもらいます。
◆暦年贈与(年間110万円の非課税枠)による現金分配
不動産の家賃収入を自分で溜め込まず、
毎年子どもや孫に分配して使い切ってもらいます。
◆「教育資金」や「住宅取得資金」の一括贈与特例
孫の入学や、子どものマイホーム購入など、
最もお金が必要なイベントに合わせて
ピンポイントで資産を移転します。
ケース3. 「死後のトラブル」をゼロにする仕組み作り
不動産を所有したまま亡くなると、
遺産分割協議で子どもたちが揉める原因
(負の遺産)になり得ます。
心配事を事前になくしておく。
これも一種の「ゼロ(憂いなし)」にするための準備です。
◆遺言書の作成(公正証書遺言)
どの不動産を誰に引き継ぐか、
あるいは、
「すべて売却して現金化し、均等に分ける(換価分割)」
かを遺言で指定しておきます。
残された家族の精神的負担をゼロにします。
◆家族信託(民事信託)の組成
万が一、自分が認知症になってしまうと不動産の売却や大規模修繕ができなくなり、
資産が凍結されます。
元気なうちに管理権限だけを子どもに信託(移転)しておけば、
自分が認知症になっても、子どもが不動産を売却して
自分の介護費用に充てることが可能になり、
確実に自分のために資産を使い切れます。
まとめ:不動産オーナーの「ゼロ」へのアプローチ
現金を口座から引き出すのとは違い、
不動産の終活は「時間がかかる」のが特徴です。
まずは以下の3ステップから検討を始めることをお勧めします。
1)保有不動産の
「現在の市場価値」と「毎月の収支」
を正確に把握する。
2)自分がこれから「どんな経験にいくら使いたいか」の
ライフプラン(バケットリスト)を作る。
3)残りそうな資産を、家族信託や生前贈与を使って
「生きているうちに、コントロールされた形で」
次世代に渡す、または自分のために流動化する。
Die with zeroの実践に向けて、
まずは何から手を付けるべきかを考えてみることが大切です。
かつては、
「先祖代々の土地や家をそのまま遺す」
ことが美徳とされていました。
しかし時代は変わりました。
子どもが一番大変なお金がかかる時期に、
自分の給料とは別の収入源として
親から承継した不動産の収入は、
まさに喜ばれるプレゼントだと言えます。
資産をただ遺すのではなく、
生きているうちに、
自分が有意義に使い切る分と残す分を考えておき、
「家族みんなが幸せになる形」へ整えておく。
これが、これからの
新しいかたちの資産承継と言えると思います。
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